感情ネグレクト:娘から父への手紙
様々な理由で多くの家庭がバラバラになっていて、その中でも最も悲しいものの1つが 感情ネグレクト です。
ある女の子が父親に書いた手紙をご紹介しましょう。これを読むと、感情ネグレクトが身体的なネグレクトよりも、子供にとってはよっぽど辛いものだということが分かります。
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幼少期: 感情ネグレクト
両親の別居や離婚は、子供にとって非常につらいものです。それを受け入れる、あるいは理解するのはとても難しく、またそれについて自分がどう感じているかを表現することもなかなか出来ません。
また、幼少期の感情ネグレクトは、アイデンティティや自尊心を低めます。人間関係の構築が下手になり、不安感を常に抱え、自分は価値のない人間だと思うようになります。
親がいなくなったのは自分のせいだと信じることもあります。
子供にとって、親は自分たちではなく他の家族を選んだことを受けれるのは非常に難しいことです。受け入れるためには、安定した環境、注がれ続ける愛情、感情の逃げ場が必要になります。
感情ネグレクトはとても辛いものです。ある少女が出て行ってしまった父親に当てた手紙をご紹介します。
強くあることしか出来ない状況に追いやられて初めて、自分の本当の強さを知る、とよく言います。この少女は、手紙を書き、自分の傷を癒すため強くなろうと決意しました。
女の子からの父親への手紙
パパ、いつもパパのことを考えているの。
毎日、もしあの日パパがいなくならなかったら、今頃どうなっていたんだろうって考えるんだけど、こうなってきっと良かったんだよね。
好きなことを見つけたの。私はアートが好き。もしパパがいたら、美術館や写真館、ギャラリーに連れて行ってってきっと頼んでいたと思う。それから楽器を弾いたり、オーケストラのコンサートに行ったり、本を読んだり。きっと一緒に素晴らしい時間を過ごしたんだろうね。
アートは私に色んなことを教えてくれた。人を観察したり想像力を羽ばたかせたり。今はパパの笑顔がどうだったか想像出来たらって思うばかりです。
パパが悲しんでいる時の目や、怒った時に出来る額のしわはどんな感じなんだろう。とっても欲しかったカメラをついに手に入れたから、パパの写真を撮れたらって思います。
時々パパと腕を組んで、パパの肩に頭を乗せながら通りを2人で歩く夢を見るの。パパが私のことを「とてもきれいだよ」って言ってくれたら、いったいどんな気持ちになるんだろうって知りたくてたまらない。パパも言えなくて残念と思っているかな?
でも大丈夫。パパがとっても忙しいのは知ってるから。
パパは行ってしまったけど、それが私やママのせいじゃないのは知ってる。ママのように強くなりたいと願ったけど、どうしてもなれないの。私はパパにすごく会いたい。
パパがいなくなった日を今でも覚えてる。あの時それを知っていたらって思っちゃう。そしたらパパにギュッと強く抱きついて、いつも愛してるって言ったのに。
どうして本当のことを言ってくれなかったの? もしそうしてくれてたら、こんなに苦しまずに済んだのに。
私たちを選んで欲しかった。私にはパパが必要だった。毎朝元気づけて欲しかった。アドバイスをして欲しかったし、私は価値のある人間だから、どんな男性も私を邪険に扱ってはいけないって言って欲しかった。
今はそれが分かる。でもパパがそう言ってくれてたらもっと簡単に理解出来たのに。
パパを責めたりしないよ。不安な気持ちや捨てられることへの恐怖、空っぽの気持ちをパパのせいにはしない。私は自分は長所より欠点の方が多いと信じてきた。けど全ては私が思っているだけで本当はそうじゃないんだってことを学んでいかなきゃいけない。
心の中にある深い空っぽの空間、自分を好きになれないその気持ちをどうにか埋めようと、ずっと頑張ってきた。
恋人とも、相手がいなくなってしまうんじゃないかという恐怖から、いつも最悪の結果になっている。自分は結婚できないんじゃないかって泣くこともあるし、そのせいで愛することに臆病になってるの。
ママが味わった苦しみを、私は味わいたくないと思っている。
満ち足りた関係じゃないのに、誓いを立てる意味はあるのかな?
私とママはよく頑張ったよ。ママは本当にすごい人です。いつも私の側にいて、どんなに苦しい人生でも私の笑顔を見れば元気になれるって言ってくれた。彼女は素晴らしい女性だよ。
ママを見ていると、パパがどうして出て行ってしまったのか理解できない。きっと自分の弱さや前へ進むことが怖かったのね。壁にぶつかったから逃げたのよね。でも、それでも構わない。
もし私がまたどちらかを選ばなきゃいけない状況にあったら、やっぱり私はママを選ぶわ。それにパパもきっと別の家族を選ぶでしょう。
私たちを置き去りにして選んだ奥さんと子供たちにとって、パパがいい父親であり夫であることを願っている。私は泣かずに別れを言います。だって涙はもう必要ないから。
さっき私はパパをいつでも愛してるって言ったけど、本当はパパがしてくれたであろう事を愛してるんだということに気づいた。私に命という素晴らしい贈り物を与えてくれてありがとう。元気でいてね。どこにいるかは知らないけど、さよならのキスとハグを送るわ。
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