情緒が豊かな子どもを育てるためにできることってなんだろう?

2020年5月14日
今回は自分の感情を表すために必要な情緒発達の重要性についてご紹介します。人が成長していく際の様々な感情的発達について、どのように影響し合い継続的に連携しているかを見ていきましょう。

情緒の発達はとても複雑なプロセスです。自分の感情を経験し、それを示す能力を次第に習得していくものです。

このプロセスが機能するには、子どもは他の子ども達と接触を持つ必要があります。言い換えると、社会性と情緒の発達には密接な関わりがあり、相互に影響するのです。

長い人生を通して、情緒は時間をかけて発達していきます。その中でも自分の気持ちを認識して感情をコントロールする方法を学ぶことに関しては、幼少期と青年期は特に決定的な時期と言えるでしょう。

情緒の発達

情緒が発達していく途中で、人は数々の感情を確立し、それを体験しながら理解していくものです。

情緒というのは、感覚と感情が含まれます。そして多様な数々の心の状態、良い感情も悪い感情も含め、人生を通して体験するすべての感情のことを指します。

さらに情緒発達の特徴は、その人が持つ対人関係のつながりによって、ある程度決まってきます。同様に、それが他の人との関係に影響していきます。

情緒豊かになるためには、外的行動を通して自分の感情を経験し、それを表現する能力が必要です。これらの行動によって人々は社会領域の一部となることができます。そして同時に、基本となる身体的、認知的、社会的、情動的ニーズにも対応できることになります。

情緒 豊かな子どもを育てるために

情緒の発達における主要段階

幼少期

子どもの幼少期には、情緒を発達させる基本的な柱が構築されます。小さい頃から、私達は愛され、大事にされて、価値ある存在だと感じる必要があります。事実、私達の感情的性格はこれらの要素に基いていますし、心理社会的、認知的、運動的等、他の側面における発達にも関係しています。

ここで人間の将来の感情的生活に関して重要な要素となるのは、幼少期に発達する人とのつながりや愛着の種類なのです。ジョン・ボウルビィによって提唱された愛着理論(1986年)では、個々の生活で親密な関係のある人々に対していだく一連の感情と定義されます。これらの感情は、愛着の対象との親密な接触によって、安全や安心感、そして喜びの感情を与るでしょう。

愛着は赤ちゃんが生まれて最初の一年の間に築く情緒的つながりです。これは子どもが必要とする感情の絆と、その必要性に対応するための行動から成り立っています。子どもが両親や兄弟に対して持つ愛着は一生続くもので、さらにその愛着が、他の子どもや周りにいる大人達との関係性の原型となります。

そこで情緒的つながりが、子どもにとって落ち着いていて安定している基本となり、子ども達が精神的に安定して、安全に社会に対応していける行動を取るようになるのです。

青年期

情緒の発達において青年期も重要な時期で、個々の性格が確立していく時でもあります。社会的な交流や対人関係によって、増々情緒豊かになっていくでしょう。それと同時に、幼少期の愛着対象に頼っていた頃に比べて、家族の意見はあまり参考にしなくなるでしょう。

その頃になると、子ども達はさらに家族から自立していき、友達の存在が重要になります。ティーンエイジャーは仲間との絆を深めるようになり、最初の恋愛関係を持ち始めるのもこの頃です。

また、青年期の情緒の発達は、様々な必要性と関係しています。若者は自分の身体に起こる変化と共に、心理的にも生理学的にもそれに対応して内面化していくために、親密な関係を必要としています。

10代の子どもは自分の家族から自立して、自由を手に入れたいと感じます。これは将来の自律性を養うためにも重要で、大人としての人生に移行していく上で不可欠です。そして若者は自分自身の個性や自分らしさを作り上げていく必要を強く感じているのです。

個性や自分らしさは、それぞれの好みや色々な選択(社会的、性的、仕事、専門職)によって決められ、自分の将来をどう見ているかにも依ります。

情緒の発達に関する理論

情緒の発達について多数の理論がある中で、エリック・エリクソンの8段階の心理社会的発達理論が挙げられます。彼はドイツ系アメリカ人の心理学者/精神分析家であり、情緒的な発達は絶えず続くものだと捉えています。エリクソンによると、人の生涯を通して情緒は発達していき、それは8つの段階に分類されます。

発達の各段階で、具体的な行為を達成するために、一連の能力を習得しなければなりません。これはそれぞれに心理社会的な「課題」があり、情緒の発達において次の段階へ進むためには、その課題や問題を乗り越える必要があります。

エリクソンの定義には各段階での「課題」に対して、反対語の組み合わせが課題への良い解決法と悪い解決法として表現されます。例えば、「自律性 vs 恥と疑惑」、「同一性 vs 同一性の拡散」、となります。

情緒 豊かな子どもを育てるためには

そしてピアジェ理論から進化した、精神科医アンリ・ワロンの研究では、情緒の発達について独自の理論を掲げています。ワロンの考え方には次のようなものがあります。

  • 人間同士の関係が、人間を形成する。
  • 社会的人間関係は、愛着の対象である両親や教育者だけに限らず、どれも全て重要である。
  • 人間の発達において情緒面は根本的役割がある。感情と情動そのものが、まず言語よりも先に現れ、そして言葉と共に表現される。

情緒豊かな子どもを育てる方法

情緒の発達を促進するには、次のような項目に関して子どもと大人双方の行動を最適化することが必要です。

  • 情緒的な絆を認識、強化、維持する。幼少期の情緒的な愛着のつながりを築き、子どもの成長と共に自意識と自尊心を育み、自己の感情を意識してコントロールする方法を教えてあげましょう。
  • 家庭や教育の場において、楽しくお互いを尊重し合い、穏やかでありながら刺激的な環境を作り出し、それを継続するよう努める。これで各自の情緒的発達の潜在能力が最大限に発揮されると共に、その人の全般的な発達の基本となります。
  • 子どもが話すように励まして、話を広げ、会話とコミュニケーションを奨励する。それぞれの気持ちや感情を認識して、それを明白に表すことで、情緒が発達します。そこで自分自身と周りの人の情緒的な必要性を認識するために、対人関係がとても重要になってきます。
  • Bowlby, J. (1986). Vínculos afectivos, formación, desarrollo y pérdida. Editorial Morata. Madrid.
  • Ocaña, L. (2011). Desarrollo socioafectivo. Editorial Paraninfo.