【保存版】妊婦の身体的変化:ママになる準備をしよう

2020年2月18日
妊婦は身体の構造と機能において大きな変化を経験します。この記事では身体に起こる変化とその理由について詳しく見ていきたいと思います。

妊婦に身体の構造と機能において変化が起こるのは、妊婦の身体と胎児が経験する新たな必要性があるからです。この変化は身体の全ての側面において影響があり、女性の誰もが全く同じ経験をする訳ではありません。それを考慮して、妊娠中に起こる妊婦の身体的変化についてご紹介していきます。

妊婦に起こる身体の構造と機能の変化

生殖器系

生殖器系の臓器の中でも、子宮には最も大きな変化があります。妊娠の終わりまでに子宮は大きくなり、約5ℓの容量と1100gの重量に達します。

妊娠していない女性の子宮は骨盤の中に位置しますが、妊娠中は子宮が腹部の臓器となり、大きくなるにつれて子宮の下の部分はお腹から感じられる程となります。

妊娠中の検査で、子宮の発達具合を診るのが最もよく利用される測定の一つです。この発達は、エストロゲンとプロゲステロンというホルモンの影響と、胎児の成長によって子宮が膨張する結果です。

妊娠が進むにつれて、胎盤に充分な血液が送られ、その結果胎児にも血液が通るようになり、子宮への血流が増えるでしょう。

【保存版】妊婦の身体的 変化 :もうすぐママ

その他の生殖器系変化

子宮頸部では子宮頚管腺の分泌が増えて、粘液栓となります。これは膣から微生物が進入するのを防ぐ役割を果たします。膣での血管新生も増え、周辺が腫れることもあります。子宮の一部に軟化(ヘガール徴候)が確認され、少々青っぽくなることもあるでしょう。

膣と外陰部でも血管新生増加によって軟化が起こり、浮腫状になりチアノーゼで青紫色に変色します(チャドウィック徴候)。

出産に備えて膣が伸びやすくなり、粘りのある白っぽいおりものが分泌されます。この酸性pH値の高いおりものは様々な感染を防止するものですが、菌類を培養する媒体ともなり、これが原因で妊娠中は真菌感染症(カンジダ症)になりやすくなります。

大体妊娠7週間に入るまでは、卵巣の一つに黄体が残っています。これがホルモン生産に関与して、胎盤がホルモンを分泌し始めるまでの間、妊娠の進行を促するのです。

さらに胸部が大きくなって、乳輪と乳首の色が変化し、乳首に小さな突起物(モンゴメリー腺)が現れます。これらの小結節は実は肥大した皮膚腺で、乳輪静脈叢も見られます。さらに妊娠4か月頃に初めて母乳分泌があるかもしれません。

ご覧の通り、妊婦は生殖器系における色々な変化を体験することになります。

皮膚

ホルモン変化によって皮膚に見られるほとんどの変化を引き起こします。そして次のような変化を経験するでしょう。

  • 色素沈着が、腹部正中線、乳首、乳輪、外陰部に見られます。
  • 顔のシミ(肝斑)。
  • クモ状血管腫が、顔、首、手足、胸に見られます。
  • ストレッチマークが、胸、お腹、お尻に現れます。
  • 汗をかきやすく、皮脂も出やすくなります。

新陳代謝の変化

妊婦の新陳代謝には次のような変化が起こります。

  • 体重増加。これは主に胎児とその周りに必要なもの、血液増加、羊水、胎児の成長、乳房、妊娠で増えた脂肪が原因です。
  • 糖質代謝。妊娠と共にインスリン分泌が増え、それに対する組織の抵抗力も増大します。肝臓でのグルコース合成が減少する一方で、末梢グルコース利用が増加します。
  • 脂肪代謝。妊娠中期になると、コレストロールと中性脂肪の合成と吸収が増加し、体内組織での脂肪蓄積も増します。
  • たんぱく質代謝。胎内組織の成長と共にたんぱく質の需要も上昇します。
  • 水分代謝。最大7ℓの水分が母体内に補充され、胎児や付随臓器に供給されます。

呼吸器系

妊娠中はエストロゲンが増えるので、鼻孔粘膜に充血を引き起こし、鼻炎、鼻づまり、鼻血などの症状になりやすくなります。

また胸郭も妊娠中に変化が起こります。横隔膜が上昇し、胸部の幅が広がります。これらの変化は子宮の成長が原因であり、またホルモン変化によって、肋間筋の靭帯が緩むことで起こります。

妊婦の身体的 変化 :もうすぐママになる

肺機能に関しても次のような変化が確認されます。

  • 肺の機能的残気量と総容量が減少します。
  • 吸気容量が増加します。
  • 特に妊娠後期になると呼吸数が少し増加します。

妊婦の消化器系

妊婦が吐き気や嘔吐に悩まされるのはよくあることです。これは主に、ヒト絨毛性ゴナドトロピンβサブユニット(β‐hCG)とプロゲステロン(共に妊娠中に生産されるホルモン)が原因と言われています。

ホルモン活動によって口内にも変化が起こります。唾液のpH指数が下がり細菌フローラが変わるので口内を清潔に保たないと、虫歯になりやすくなるでしょう。

さらにエストロゲンの増加で血管新生が増加するので、口内の出血や歯ぐきの炎症が起こりやすくなります。

大きくなった子宮が他の腹部臓器を押し出す形になり、内服部が圧迫されます。プロゲステロンは消化管を緩めるので腸の働きが遅くなります。そして次のような症状を引き起こします。

  • 胸焼け。
  • 便秘。
  • 消化が遅く、胃がもたれる。
  • 食道裂孔ヘルニア。

プロゲステロンの活性化で胆のうに影響も出ます。胆のうが空になるスピードが落ち、胆汁が濃厚になります。その結果、胆石の発現確率が上がります。

妊婦の尿路系の変化

妊娠中は血管新生が盛んになり、間質の容量や体内の空間が増えるので、腎臓が大きくなります。さらに腎盤と尿管が拡張します。

これらの変化は子宮の回転方向のせいで、右側の腎臓により大きな変化が見られます。これは妊娠初期から起こります。それが尿停滞となり、感染や腎臓結石が起こりやすくなります。

子宮が膀胱内圧を高め、尿の量を増やすことも重なって、毎日の排尿頻度が増えるでしょう。

内分泌系

妊婦のホルモン分離と新たなホルモンの分泌に関しても変化があります。妊娠中に著しい変化が見られるホルモンには、次のようなものが挙げられます。

ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)

このホルモンは胎盤で作られ、β-hCGというサブユニットが最も妊娠に影響します。妊娠初期にこの数値が最も高くなり、残りの妊娠期間は一定に保たれ、その後数値は下がります。

このホルモンは胎児の成長に影響し、胎盤が充分なステロイドを分泌できるようになるまで黄体を保持します。さらに胎児の精巣を刺激してテストステロンを分泌します。

そしてHCGは妊娠テストで、血液または尿から検出されます。

妊婦の身体的 変化 :もうすぐママになる準備

胎盤性ラクトゲン(PL)

これも胎盤性ホルモンの一つです。その目的は脂肪分解を増加させ、インスリン抵抗力を高め、糖新生を減少させて、乳房組織の増殖を増加させることです。

エストロゲンとプロゲステロン

これらのホルモンも胎盤で分泌されます。そして妊娠中に起こるほとんどの変化に関与しています。

性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)

この視床下部におけるホルモンは胎盤の発達に影響し、ホルモン値は妊娠中に増加します。

乳腺刺激ホルモン

これは脳下垂体のホルモンで、妊娠が進むと共に増加して、母乳生産できるようにするために女性の身体を準備します。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)

このホルモンは甲状腺で分泌されます。妊娠初期に、似たような構造であるHCGが増加すると共にTSHレベルが低下します。その後にはホルモンレベルが正常値に戻ります。

妊婦の心臓血管系

妊婦の血液量は1500~1700㎖に増加します。これは著しい上昇であり、細胞容積よりも血しょう量が多くなるので、血液希釈および生理学的貧血につながります。

この血液量の増加は、妊娠中に次のような様々な機能を果たします。

  • 出産中に経験する血液不足から女性を守ります。
  • 新たな代謝需要に対応します。
  • 妊娠中に起こる静脈還流障害の悪影響を予防します。

さらに白血球の数値が上がり、血小板が多少減少します。血液凝固要素は増加するのに対し、繊維素溶解性は下がります。これに加えて、静脈還流に関して子宮で起こるうっ血もあり、血栓塞栓症の危険が高まります。

解剖学的に見て、横隔膜が上昇し心臓の方向および左側に動きます。心拍出量(CO)は増え、心拍数も15~20拍/分まで上昇します。

最後に血圧は妊娠中もあまり変わらず、場合によっては減少することもあるかもしれません。

その他の母体の構造と機能変化

骨の変化

妊婦の身体はカルシウムとリンをより吸収しやすくなり、既に自分の骨に含まれる栄養素を動員させて、適切な胎児発達を促します。出産後には骨密度が正常に戻ります。妊娠が将来の骨粗鬆症の原因にはならないと証明されています。

筋骨格系

体重増加に対応するために、脊椎は反った傾きが強調されます。脊椎神経根は圧迫される、または膨張されることがあります。これらの変化が原因となって、腰痛や神経痛が引き起こされるかもしれません。

妊婦の身体:もうすぐママになる

免疫系

妊娠中は母胎内に「異物」(胎児)が宿ることができるようにするため、一定の免疫系機能が抑えられます。

妊婦の性

これまでに説明してきた変化は、女性の性にも影響します。生殖器の血管新生によってより敏感になることがあります。それによって性的に満足しやすい、または不快感を感じやすくなるかもしれません。

最後に、妊婦について一言

妊娠中は身体の変化について何か気になることがあったら、助産婦や産婦人科医に何でも気軽に相談するようにしましょう。

  • Espinilla Sanz, B., Tomé Blanco, E., Sadornil Vicario, M., Albillos Alonso, L. (2016). Anatomía y fisiología del embarazo. Manual de obstetricia para matronas. 2nd ed. Valladolid: DIFÁCIL; 2016. 53-64.