精子の生存競争について

· 2018年11月4日
何億もの精子の中からたった1つの精子だけがたどり着き、生き残るのです。

射精後、精子の生き残りをかけた競争が始まります。この競争では、およそ2億という数の精子が一斉に卵子を目指すのです。今回は、この素晴らしい受精までの過程を詳しくご紹介したいと思います。

受精は生物学で研究されている課題の中でも最も複雑なものの1つで、同時に興味深いプロセスなのです。

なぜ精子は生き残りをかけて闘うのか?

精子はそれぞれ違った特徴を持つ細胞です。つまり、それぞれの個性が異なるのです。これは女性の体内で再生することが不可能であるということを意味し、そのため生き残るため闘わざるを得ないのです。

射精後、女性の子宮が収縮したり、また免疫システムが酸化ストレスを与えるため、細胞はダメージを受けます。

もちろんその他にも受精するために乗り越えなければならない試練はたくさんあります。

 

女性の生殖器内の精子

膣内に入り込んだ精子は、15~18cmを駆け抜け卵子に到達します。

膣内に精子が確認されると、特定のコントロールメカニズムが要所要所に配置されます。

精子が卵子までの旅を続ける間、女性の体内では様々なリアクションが見られます。

これは精子が卵子に到達するまでの道のりをコントロールするための反応です。

 

最初の障害

最初の障害は膣内の水素イオン濃度の変化です。酸性(だいたいph5)に傾くため、死んでしまう精子もあります。

また免疫システムによる障害もあります。精子は体外からの侵入者であるため、膣内の抗体が体を守ろうとし、精子を攻撃します。

精子 と免疫システム

白血球が侵入者を感知し、精子を捕食、または破壊します。

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中和のメカニズム

これらの障害を乗り越えて膣を通過するために、精漿は身を守る必要があります。捕食を阻害する物質を分泌するのです。

精液の水素イオン指数は、膣内のそれよりも高いため、2つが交わると中和されるのです。そうすることで精子の破壊を防ぎます。

 

子宮頚部

精子の生存競争の第2ステージが始まります。次に精子は子宮頚部を通過しなければなりません。この段階でほとんどの精子は除外されます。

ですが、子宮頚管は96%の水分を含む粘液を分泌し、精子が通過することを容易、または可能にします。

 

子宮頚管窩

子宮頚部の骨組みは陰窩で構成されています。精子はこの陰窩に引っかかってしまうこともあります。

精子は性行為から約5日間生きています。その間に陰窩から抜け出し、受精する場合もあります。

 

子宮を通過して前進する

子宮に到達するまでに、精子は子宮頚部にある粘液を通過しなければなりません。すでに排卵が行われている場合、粘液はより水分を多く含むため、精子は通過しやすくなります。

精子は子宮腔を10分で通り抜けることが出来ます。これは子宮と卵管が収縮し、卵子への到達をサポートするためです。

 

卵管

ここまで来ると、今度は精子は子宮頚管の接合部を通過しなければなりません。これは卵子への道のりの中で最も狭くなっている部分です。

これを通過するため、2つの変化が精子に起こります。まず非常に動きが活発に、また素早くなります。

次に精子の細胞膜が変化し、卵子の保護膜層を通り抜けます

卵子 精子

 卵子への接近

卵子を覆う膜を突き破り進むためには、精子の活動力が重要となります。それに卵管のガイドシステムが加わることで、精子を卵子へと誘導します。

 

最終段階

膣内に何億という精子が入り込んだにも関わらず、最終段階までたどり着けるのはほんの数十個のみです。

次の障害となるのは、卵子を守っている細胞です。これを先に破った精子が卵子にたどり着くと、精子は酵素を放出し、先体反応が活性化されます。

瞬く間に卵子は殻に囲まれ、その他の精子は入り込むことが出来なくなります。こうすることで胎児の成長が確保されるのです。

以上が、精子が卵子を受精するまでの道のりです。何億もの精子の中からたった1つの精子だけがたどり着き、生き残るのです。その他の精子は、疲労や女性の免疫システムによって全て死んでしまうので、非常に厳しい世界なのです。

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