【短編アニメ:Bao】ピクサー映画に学ぶ「空の巣症候群」とは?

12 10月, 2020
この映画の主人公である母親は、息子が成長して自立していくことを受け入れなければなりません。しかし母親にとって、空の巣症候群を乗り超えることは簡単なことではありません。

『Bao』は、ピクサーによって製作された短編アニメで、「空の巣症候群(からのすしょうこうぐん)」という症状を取り上げ、2019年にはアカデミー短編アニメ映画賞を受賞しました。

興味深いのは、『Bao』はピクサー・スタジオ初の女性監督による短編映画であるということで、そのドミー・シー監督は、子ども達が独り立ちするようになった時の、母親の複雑な気持ちをうまく捉えています。しかも監督は、この大きな課題を3分に収めるということを見事にやってのけたのです。

「大切なのは、家族が一緒に住むことではなく、常に心がつながっていることです。」

– 作者不明 –

空の巣症候群に関する短編映画『Bao』

この映画に登場する中国系カナダ人女性は、寂しくて落ち込んでいる様子がうかがえます。この女性が手作りの中華まんを準備しているところから話が始まり、出来上がってから夫と静かに食卓につきます。

【短編アニメ『 Bao 』】空の巣症候群

ところが女性が一口食べようとすると、驚いたことに中華まん(バオ)に命が宿り、泣き始めるのです。それ以来この宝物のような中華まんのお世話を始め、まるで自分の息子のように可愛がって育てます。バオが少しずつ成長して、一人で色々できるようになり自立してくると、母親に構われることを嫌がり自由を求めるようになります。それでも心配な母親は過保護なしつけを続け、他の子どもとスポーツもさせません。

バオが思春期になると反抗し始め、母親にはそっけない態度を取るので、お母さんはすっかり悲しくなってしまいます。難題はそれだけでは済まされず、バオが家に交際中の彼女を連れて来ます。そして家を出て行って、彼女と生活を始めることを打ち明けるのです。

それによって母親は心が引き裂かれる思いに陥ります。あまりのショックで怒りと不安が爆発して、ついに中華まんを口に放り込んでしまいます。自分の大切な息子バオを食べてしまい、すぐに後悔する母親はどうしようもなく号泣します。

それから寝室で一人悲しみにひたる母親が映し出されます。そしてバオの影が見え始めたかと思うと、人間である本物の息子が登場するのです。そして、 ついに母親と息子は仲直りして、お互いの親子の愛情を分かち合います。

最終的には家族みんなで、息子の彼女も一緒に中華まんを作るシーンが出てきます。母親が空の巣症候群を乗り超えて、幸せをかみしめる様子がよく分かりますね。

【短編アニメ『 Bao 』】ピクサー映画に学ぶ空の巣症候群とは

この短編映画についての感想

この素敵な短編アニメを通して、母親は自分の子ども達が巣立っていくための準備をしなければならないということを教えてくれます。その準備として、子離れをしなければいけない日が、いつかやってくることを受け入れる必要があります。

子ども達は成長して大人になり、自分の人生を生きていく計画を立てるものだと覚えておきましょう。それがただ暗い悲しみばかりでなくてもいいのです。むしろ、それも母親としての人生の一段階として見るようにすることもできます。

母親は何年もの間、できる限り尽くして子育てに献身するので、どうしても感情的に子どもと強いつながりを持つことになります。その絆は永遠であって、子ども達が家を出て行っていくことになってもそれは変わりません。

「遅かれ早かれ、子ども達は人生の長旅へ出発します。大した荷物は持たないけれど、まだ親元にいる間に与えた愛と教訓だけを握りしめて巣立っていきます。そのときになって初めて、親として伝えてきた自分の教えが正しかったのかどうか、子どもの人生を通して知ることになるのです。とにかく、遅かれ早かれ子ども達は去っていくことをよく覚えておきましょう。」

– ジョエル・タマックス・ルービン –