子どもに見られる多動症とADHDの症状

落ち着きのない子どもはよくいますが、行動障害の一つである多動症と何が違うのでしょうか。今回は多動症の子どもに見られる特徴についてご紹介します。
子どもに見られる多動症とADHDの症状
María Alejandra Castro Arbeláez

によって書かれ、確認されています。 心理学者 María Alejandra Castro Arbeláez.

最後の更新: 15 10月, 2018

多動症は、子どもによく見られる行動障害です。 多動症の子どもは、無意識に動きたくなってじっとしていられない、という特徴があります。何か始めても終えることができず、他のことをしたくなって気が散ってしまうのです。

多動症は周りに人がいると症状が悪化し、他人やあまりよく知らない人の前では特にその傾向があります。子どもが一人でいる時は、多動症の症状があまり出ないという特徴もあります。

一般的に、集中や注意が欠如することが多いといわれる多動性(過活動)に加え、衝動性と不注意の症状も見られる場合、注意欠陥・多動性障害 (ADHD)と診断されます。

この障害は診断が難しいですが、特徴的な症状を両親が認識していると早い診断につながります。そのような特徴がお子さんに見られたら、もっと詳しい診断を受けるようにしてください。

多動症の子どもに見られる行動

多動症の子どもに最も顕著に現れる特徴は、集中できないことと、注意力散漫なことでしょう。他にも以下のような症状が挙げられます。

  • 混乱している、危険な行動をすることがある、怒られても反応がない。
  • いらいらして、落ち着かない。
  • 授業中に問題を起こしやすい。
  • 衝動的で、指示に従わない。
  • 何か不満だと我慢ができない。
  • 集中力に欠ける。
  • 気が散ってしまい、授業の課題に注意がいかない。
  • 過激な行動をする場合もある。
  • 自分の発言や行動を抑えることが苦手。
多動症とADHDの症状

多動症の原因

決定的な原因はまだ解明されていませんが、遺伝要因が大きいのではないかという仮説があります。さらに環境要因として、家庭や教育面、さらに過剰診断が増えている社会的な問題も考えられます。

多動症が見られる子どもは予想以上に多いものです。ある研究によると、7歳以下の子どものうち3%の子どもが多動症と診断され、女の子よりも男の子の方が発症率が高いと言われています。

これまでの歴史の中で、多動症の科学的見解は変化してきました。20世紀初めには、多動性は流行性脳炎と呼ばれる、軽度脳損傷によるものではないかと推測されていたのです。

1937年には、中枢神経刺激薬(アンフェタミン)に多動性の治療効果があることが別の研究の際発見されました。この初期の仮定理論により、脳を刺激するベンゼドリンが使われ始め、初期薬物療法となりました。

薬物療法の場合は、医師の指示に従って、社会心理的アプローチと併用して、治療に取り組むようにしましょう。

年齢別多動症の特徴

子どもの成長と共に、多動症の特徴と思われる行動パターンが変化します。多動症の行動は識別しやすいものです。幼少期から多動性の行動が見られる場合は、医師により症状を見分けることが可能です。

0~2歳

睡眠中のミオクローヌス発作や食欲不振。子どもは短時間しか眠らず、突然起きることが多い。毎日同じ生活パターンになることを嫌がる。聴覚刺激に対して敏感で、音に過敏。

2~3歳

言葉の発達が遅く、多動が顕著になり、危険意識が薄い。何かが危ないということが認識できず、怪我をしやすい。

4~5歳

他の子と友達になることが苦手、反抗的、ルールに従えない。大人に注意されても、注意深く話を聞けない。

6歳以上

6歳以上の多動児の特徴は、衝動的な行動と、学校の成績の伸び悩み。この年齢では注意欠陥が顕著に表れ、他の子どもとの対人関係が困難。

注意欠陥・多動性障害 (ADHD) の特徴

多動性と共に、不注意と衝動性が加わると、医師によって注意欠陥・多動性障害 (ADHD) と診断されることがあります。これは医学的な障害であり、継続的な治療と診察を続ける必要があります。

まとめると、ADHDの子どもの主な症状は:

  • 不注意
  • 多動性
  • 衝動性

多動症の子どもがすべてADHDではない

上記のような行動パターンのうち、一部のみ確認されることもあります。しかしそれが必ずしもADHDではありません。

幼い子どもは生まれつき落ち着きがなく、衝動的なことがよくあります。課題に集中できない子どもも大勢いる事でしょう。それはある程度までは正常な行動だと言えます。

多動症で集中できない

子どもがADHDと診断されるには、精神障害/疾患の診断・統計マニュアル (DSM-5) の診断基準に当てはまるかどうかで決まります。

  1. 他の子どもに比べて、行動障害の特徴的行動が明白に表れている。
  2. 子どもが12歳未満のときに症状が見られる。
  3. 学校での学習と、家庭や社会での正常な機能に影響を及ぼしている。
  4. 子どもの生活の質に、影響を及ぼす行動が見られる。
  5. 別の疾患、薬物の影響、他の精神障害との併存によって起こされた行動ではない。

多動性とADHDの治療法

世界保健機関 (WHO) や日本のガイドラインでは、児童へは心理療法が優先されます。本人の特性に合った環境調整を行い、ペアレント・トレーニングにより保護者への支援を強化します。

よく使われるADHDの薬物療法は刺激薬であり、子どもが集中するのを促します。他の精神障害の特徴も現れる場合は、別の薬を処方することもあります。

同時に心理療法も行い、学校と家庭での生活を組み合わせていくのに役立ちます。そして認知行動療法では、子どもの活動スケジュールを組み、セルフトークと呼ばれる心の言葉を上達させる練習をします。

子どもにこれらの特徴があると気付いたら、診断テストを受けさせることが重要です。子どもはADHDかもしれないし、単に子ども時代を通り抜けているだけかもしれません。

どちらにしても、子どもの行動を分析して、何か変わった行動パターンが確認されるかどうか見てみるのが重要です。


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