【アレルギーとの共存】子どもの牛乳アレルギー
子どもに最も多いアレルギーが牛乳アレルギーであることをご存じですか? しかも、牛乳は通常生後1歳前から、他のアレルギーを引き起こす可能性のある食品よりも早く飲み始めるため、最初に現れるアレルギーの1つなのです。このため、早期発見と早期治療の開始が可能なアレルギーでもあるのです。
牛乳アレルギーは通常、2%の子どもがなり、大人になっても残る傾向があります。牛乳アレルギーを理解するにあたり重要なのは乳糖不耐症との違いを知ることです。なぜでしょうか。それは、牛乳アレルギーの場合、避けなければいけない食物の種類が乳糖不耐症よりもはるかに多いからです。そのため、特に学校で給食が出る場合は注意が必要になってきます。
お子さんに牛乳アレルギーがあるのか、また、突然アレルギー反応が出た場合にはどう対処すればよいのか、今回は牛乳アレルギーについて、そして食べられるものや調理法など、交差反応が出ないようにする方法についてお伝えします。
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牛乳アレルギーの症状と診断
牛乳アレルギーは免疫系の反応であるため、血液中のIgE抗体を用いて検出されます。牛乳アレルギーの検査には皮膚アレルギー検査(パッチテスト)と血液検査の2種類があります。
皮膚アレルギー検査では、皮膚にアレルゲンを注射し、蕁麻疹や痒みが時間の経過とともに現れてくる様子を観察します。子ども場合、この方法が最も侵襲性が低いため最も行われる検査でもあります。
一方で、血液検査では乳タンパク質に対する血球の反応を評価します。
また、家族歴や発症年齢、アレルゲンが体内に摂り込まれてから症状が出るまでの時間経過なども考慮する必要があります。
一般的には、皮膚の痒みや赤みの出現でアレルギーの有無が分かります。また、数時間後に吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、呼吸時の痛みなどの症状が現れることもあります。
食事療法
乳糖不耐症とは異なり、牛乳アレルギーの場合は乳製品だけがアレルギーの原因ではありません。ハンバーグ、ソーセージ、カネロニ(パスタの一種)などの子牛の肉や派生品には乳タンパク質が含まれています。
また、乳タンパク質とヤギや羊の肉は非常に似ているため、これらの肉だけではなく、βラクトグロブリンやカゼインを含むものは避ける必要があります。
βラクトグロブリンやカゼインは添加物として使用されていて、ソース、保存料、惣菜、チョコレート、ココア、シリアル、パン、ソーセージ、キャンディーなどにも含まれています。また、石鹸、ボディークリーム、そして内服薬などにも含まれることがあるため、購入前には表記が義務付けられているのでラベルをしっかりと確認するか店員に相談しましょう。
ただし、微量しか含まれていない商品であれば害を及ぼすほどの量ではないので心配する必要はないでしょう。ほとんどの場合、これは同じ製造ラインで作られるために混入してしまうクロスコンタミネーションが原因です。そのため、牛乳タンパク質が混ざっているかが分からない場合は、購入しないのが賢明でしょう。
最後に、このアレルゲンが含まれない食品や他の食品を扱う際は調理器具やカトラリーを使い分けるのを忘れないようにしましょう。誤って混入させてしまわないように別々の場所で準備するのがベストです。片付けの際は、すべての表面や鍋をよく洗いふき取るようにしてください。
牛乳アレルギーの子どもの栄養対策と代替食
乳製品については、アレルギーの原因となるタンパク質を除去した加水分解された製品を使用するのがいいでしょう。または、次のような方法を注意事項を考慮しながら試してみてください。
- 大豆飲料は生後12ヶ月からが推奨されています。
- ライスミルクは、土壌に含まれる有毒ミネラルであるヒ素を多量に含んでいるため良い代替品ではありません。
- オーツ麦やナッツを使ったドリンクなどの摂取は問題ありませんが、タンパク質はほとんど含まれていないため栄養価は牛乳とは異なります。これらの飲料は炭水化物や良質な脂肪分が含まれているのが特徴です。
- 添加糖は避け、できればビタミンDやカルシウムが豊富に含まれているものを選びましょう。
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肉類は、鶏肉、ウサギ、七面鳥、豚肉など、より柔らかいものを食べさせてあげましょう。また、同じ食事の中でも柑橘類やトウガラシなどを少し入れることで鉄分の吸収が良くなります。
牛乳アレルギーとの付き合い方を学ぶ
お子さんの牛乳アレルギーが発覚すると多くの質問が出てくるのは当然のことです。今回はその多くに触れてきましたが、牛乳アレルギーの厄介な点は基本的な主食の多くに影響してくるということです。そして、その多くが骨の成長や貧血の予防に重要な役割を持つ食品でもあります。
しかし、骨の成長や貧血防止にはブロッコリー、芽キャベツ、アーモンド、豆類、魚介類、その他肉類などにも同じ効果があります。
これに加え、アレルギーが発覚してすぐは食べ物を買うときや外食するときにも注意が必要です。誤って摂取や接触しないよう、しっかりとアレルギーについて調べておくことをお勧めします。
また、アナフィラキシーショックに対処できるようにアドレナリンを自分で注射する自己注射製剤を常に携帯するようにしましょう。呼吸困難、めまい、発汗、頻脈などの症状に注意してください。
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