流産の後の心のケア:哀しみの時間を持つことの重要性
胎児を失うというのは、女性にとって非常に苦しい経験です。しかし、流産の後に哀しみの時間を持ち、何とか乗り越えるための第一歩を踏み出してみませんか。
喪に服す時期を過ごして心のケアに集中する時間を持つことが非常に重要です。それを怠ると、後で心理的に深刻な状態になり兼ねません。
流産をタブーとして扱う
なぜか現代社会においても、胎児を失くす経験をした女性に対して沈黙の壁がそびえたっています。流産というのは残念ながらわりと起こるもので、4人に1人の割合で胎児が命を失ってしまいます。しかし流産経験をした女性やその周りにいる人達は、その事実を隠すようにする傾向があります。
このようにして女性は、とても残念な出来事に立ち向かわなければいけない時に、それを相談できる相手を見つけることができないのです。すると自分が何かいけないことをしたように思い始めて、多くの人と同じく沈黙しなければいけなくなり、それが悪循環となって続いていくのです。
これは選択的中絶をした女性にも似たような状況が起こります。ただでさえ罪を感じているのに、その決定に対して社会的に不法行為と見られることで、状況がもっと悪化します。
身体と心への影響
流産によって、短期間に多大な変化を体験しなければなりません。これらの変化は自分が全く予期していなかったことなのでしょう。
まず女性は流産によって起こる自分の身体への変化に直面することになります。これはホルモンバランスが一気にくずれるので、好ましくない症状を引き起こします。
心理面では、統計的に見て流産はひんぱんに起こることではあっても、やはり痛烈な痛みをもたらすことには変わりありません。子どもを亡くすというのは、新しい命を楽しみにして、その子に抱いていた夢や希望も一気に無くなるのです。
女性は母胎の中に育っていた命を失うだけでなく、胎児の母親という役割も終わってしまいます。さらにお腹にいた子どもを中心にして作り出した人間関係も失います。
流産のあとの哀しみの時間
流産は(感情的、身体的など)あらゆる面での喪失を生み出します。そこで自分自身に哀しみの時間を与えて、自分の人生の出来事として受け入れることがとても重要です。
前述のように、社会は流産の影響をかなり過小評価しています。しかし夫婦で(特に女性が)この大変な出来事に立ち向かっていることを意識して、できるだけ自分をいたわるようにしなければいけません。
これ程の痛みに直面すると、多くの女性は手っ取り早い解決法を選び、またすぐに妊娠しようとしたり、喪失そのものをなかったことのように扱うかもしれません。しかしそのようなことをしても状況が良くなる訳ではありません。むしろ痛みに立ち向かわなければ、それが慢性化して苦しみがもっと何年も続くことにもなり兼ねません。
哀しみの時間を持つ
死を哀しむとなると、様々な感情があふれ出てきます。それには次のような感情があるでしょう。
- 罪悪感。流産の際、最も起こり得るのは罪の意識です。女性は何があったのかを理解しようとして、充分に気を付けていなかったと思って自分を責めます。
- 劣等感または挫折感。沈黙扱いされてしまった女性はできない人間だと感じたり、他の女性に比べて妊娠満期までたどり着けなかったことで劣等感を感じるかもしれません。
- 悲しみ、孤立、理解されない。親しい周りの人達も、どう対応していいのか分からないこともよくあります。しかし元気づけようとして、状況はそれ程悪くないと慰めてしまうと、さらに孤独な悲しみに追いやることになります。
- 苦悩や不安。これだけ大変な体験の真っただ中にいると、また流産してしまうのではないかという不安にかられるのは当然でしょう。また次に妊娠できないのではないかという恐怖もあるかもしれません。
流産の後の哀しみの時間を持つ方法
1.自分に必要なだけの哀しみの時間を持つ。周りの人に理解してもらえなくても、この癒しのプロセスに必要なすべての感情を体験することを、自分に許してあげるようにしましょう。
2.苦しみを隠そうとしない。すぐに妊娠しようとしたり、強制的に他のことで忙しくして気を紛らわすようなことは止めましょう。
3.思っていることを言葉にする。愛する人達、パートナーや家族、サポートグループなど、自分の気持ちや考えていることを伝えるようにしましょう。
4.別れの儀式を行う。たぶん実際のお葬式をすることは難しいかもしれませんが、どういう形であってもお別れを言うことは大事です。そして胎児に名前をつけて、あなたの人生の中で特別な場所を作ってあげることもできるでしょう。
5.誰もが自分に合った時期に哀しみの時間を持って心のケアに努める。哀しみの時間は真っすぐの線上にあるものではなく、感情の浮き沈みがあることが当たり前なのです。
6.もしかなりの時間が経っても、感情的に前へ進めないと感じたり、自分自身ではどうしようもなくなったら、専門家にカウンセリングを求めるようにしましょう。
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