子どもの行動を正す「オーバーコレクション」とは?

「オーバーコレクション」は子どもが不適切な行動をとったときに、その行動を修正するためのテクニックです。
子どもの行動を正す「オーバーコレクション」とは?
Elena Sanz Martín

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Elena Sanz Martín.

最後の更新: 27 12月, 2022

子どもを育て、教育することは忍耐力のいる複雑なことです。時には、子どもの不適切な行動を正すためにあらゆる手を尽くしても、全く無駄なように思えることもありますよね。この記事では、子どもの行動を正す上で最も有効な手段の一つ、「オーバーコレクション」については見ていきたいと思います。

お子さんは家の中で野球をしたり、兄弟げんかをしたり、壁に落書きをしたり、おもちゃを投げたりしますよね。何百回もやめるよう言ったのにも関わらず、子どもは結局同じことを繰り返します。

あなたはきっとイライラがたまって自制心を失い、声を荒げてしまうことでしょう。 子どもを叱ったり怒鳴ったりして、そのことを後悔したりすると思いますが…同じ行動が何度も何度も繰り返されてしまいます。

ではどうしたらいいのでしょうか?限界を設定しなければならないのは明らかですが、常に子どもと口論をしてバトルし続けるのは疲れてしまいます。しかしあきらめてはいけません。こんなとき、「オーバーコレクション」が素晴らしい教育ツールになってくれるかもしれません。悪い行動を排除しつつ、適切な行動をとるようトレーニングするのに役立つのです。

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オーバーコレクション:効果的なテクニック

行動主義は心理学のアプローチの一つで、行動とその結果との関係を研究する分野です。行動主義によれば、ある行動がどれくらいの頻度で現れるかは、その行動から得られる結果によって変化するといいます。

それが良いものならば、その行動はより頻繁に現れるでしょう。同じように悪い結果を導くならば、その行動は減っていくということです。

これを行うには2つの方法があります。ある行動をもっと行ってほしいと思うなら、ポジティブな強化を行います。しかし、その行動を減らしたりなくしたりしたい場合には、罰を使います。

その意味では、「オーバーコレクション」は罰を使うテクニックのカテゴリーに入ります。なぜなら目標が好ましくない行動の頻度を減らすことだからです。とはいえ、このテクニックは同じカテゴリーの他のテクニックにはないいくつかの利点があるのです。

  • このテクニックは、子どもの身体的・心理的健康や整合性には無害です。(身体的な罰とは違って)いかなるレベルの攻撃性を示さない無害なものです。
  • 罰を使ったテクニックの使用は、子どもに怒りやその他のネガティブな感情を罰をあたえた人に抱かせるものがほとんどです。しかし、「オーバーコレクション」を行動を修正するために使っても、それが起こる可能性を最小限にとどめることができます。
  • 「オーバーコレクション」は子どもに適切な行動を教えます。ですので、良くない行動をなくしながら、代わりに良い行動を教えることができるのです。

「オーバーコレクション」とは?

「オーバーコレクション」が悪い行動をなくすことを目的とした効果的なテクニックであることはお分かりいただけたと思います。では、どのように機能するのでしょうか。このタイプの行動修正では、子どもはあなたがやめさせたいと思っている行動に直接的に関係している、適切な行動を子どもがとるようになります。

これは繰り返し長期的に行うことで可能になります。さらに、適切な行動があらわれるかどうかは、不適切な行動の表出にも左右されます。

つまり、不適切な行動ごとに、それに関連する良い行動を私たちが選ばなければならないのです。不適切な行動が起こるたびに、子どもは望ましい行動を何回か、長期間にわたって行わなければなりません。

「オーバーコレクション」テクニックの実践には2つのやり方があります:

子ども オーバーコレクション
  • 復元オーバーコレクション:この方法は、環境によくない行動や何かを破壊するような行動に対して使えます。例えば、子どもが壁や家具にらくがきをしたとします。この場合、行うべきことは子どもが間違って行ったことで起きた悪い影響を、子どもに直させるということです。つまり、汚してしまった部分をきれいにしたり、元の状態よりもいい状態にすることなどです。お子さんにらくがきをしたテーブルを掃除するように頼むと同時に、部屋の他の家具も掃除してもらうよう頼むといいでしょう。
  • ポジティブな練習:あなたが子どもにやめてほしいと思う行動は、まわりに実体的な悪影響が出るものでないことが多いでしょう。ですので、その場合はこの2つ目の選択肢が使えます。ポジティブな練習とは、やめさせたい行動と矛盾した行動を、何回か、必要なだけ長い期間子どもにやってもらうということです。例えば、お子さんに服を拾って選択カゴに入れるという練習を10回やってもらうなどです。

論理的な影響

ご覧の通り、罰という形でありながら、罰の要素が前面に押し出されていません。むしろ、これは問題行動に直接関係しています。そうすることで、子どもに自然な結果に対して無関係な罰を与えることなく教えることができるのです。

状態を元に戻したり適切な行動をとることは、例えば子どものテレビの時間を減らしたりすることよりもずっと高い教育的価値があります。

ですので、なにか変化を起こしたいときには「オーバーコレクション」を心に留めておきましょう。きっとこれが効果の高い行動修正のテクニックだということに気が付くと思いますよ。


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