出産を妨害する医療介入の問題点
出産経験ほど痛烈な痛みはありません。そして十月十日胎内にいた赤ちゃんと初めて会うのは、お母さんにとってかけがいのない時間です。
日常生活から超越した、この神秘的な出産経験の瞬間を乱すような医療方法は考えものです。出産経験の冒とく行為とも言える医療介入は、当たり前のようになされています。
妊婦を尊重した出産経験の必要性ばかりではありません。母と子の深い絆が結ばれる、この大事な瞬間を妨害する様々な要因があります。医療側だけでなく、出産に立ち会う家族が、何とお母さんよりも先に乳児を抱いたりすることもあります。
愛を育む出産の妨害となっているのは、医療的な行為がほとんどです。無菌環境の慣習で、へその緒をすぐ切ったり、できるだけ早めに胎児の身体を洗うのが当たり前になっています。
もちろん出産には医療が必要ですが、この医療方法を見直す考え方が出てきているのです。
そして、もっと妊婦の身体の変化に合った、思いやりのある出産経験と、母子の健康を一番に考えた分娩後の処置が大切だという考え方が注目を浴びています。
では、その考え方がどういうものなのか、一緒に見ていきましょう。
出産経験は愛、医療機器の手続きではない
ここでご紹介したいのは、フランス人産科医のミシェル・オダン先生です。世界でも有名な出産に関する専門家です。
- 先生のおかげで、出産経験を見直し再考案する動きが始まりました。赤ちゃんを産む経験をもっと情愛満ちたものにする、というのが基本です。出産は母子愛の奇跡であって、それを侵害するべきではない、とオダン先生は主張しています。
- 限度を超える医療介入が、長年当たり前のように施されてきました。最近では良いとされる出産方法も、実は人らしくと言うよりは、技術優先の医療手順に他なりません。
- 陣痛促進剤の使用、分娩台に固定されること、予防のための処置、さらに帝王切開の乱用が挙げられます。
母子の安全を保証するための方法として定着しているのかもしれません。でも出産に立ち向かう妊婦を居心地悪くして、不安にさせ、いらないストレスを与えているのです。
新生児も母親から引き離され、大勢の他人の手に扱われ、ひっくり返され、身体を洗われて、恐怖を覚えます。
– この特別な瞬間を侵害してはいけません。
出産中は母子の心と身体を守りましょう。
オダン先生は現在83歳の今でも、母子を守る自然なお産という教えを広めています。以下、主要事項です。
- 母子両者の心と身体が最適な状態でいられるようにします。
- 母親が心地よく安心して、意思尊重されるのが大切です。分娩台だけでなく、フリースタイル出産など、出産方法を選べます。
- 事前に医師と相談して、剃毛、陣痛促進剤や麻酔の有無について、母親が選択します。
- 新生児の身体は出産直後に洗う必要はありません。身体をおおう白い膜は胎脂と呼ばれ、自然に皮膚を保護します。身体をふく前に、お母さんとのスキンシップを深める事が可能です。
- へその緒は出血が止まってから切ります。ミシェル・オダン先生曰く、へその緒は新生児破傷風の抗体の役割があるので、早期に切るのは奨励できません。
- オダン先生は、出産後一時間以内に授乳を始める事を初めて文書に残したことで知られます。
出産中の母親とのコミュニケーション
オダン先生によると、妊婦に向かって「いきんで!」などと何度も怒鳴る必要はありません。
- 分娩中、妊婦の大脳新皮質(理性的思考の脳)は働きが弱まり、活性化する脳は純粋に感情的思考の本能が中心になります。言葉を使った指示は、かえってストレスになります。
- 大事なのは最初に述べた通り、出産は母子愛の奇跡ですから、最大の注意を払うことを覚えておいてください。
親族は、親になったばかりの2人の邪魔をしないようにしましょう。
出産後は落ち着いて静かな環境が必要です。両親にとって赤ちゃんとの対面はとても大切な時間です。
親族は後で赤ちゃんと会える時間がたっぷりあります。出産直後は赤ちゃんの親だけで、新たに家族になった瞬間を楽しませてあげましょう。
赤ちゃんお誕生おめでとうございます!
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