スペインの働くお母さんの有給育児休暇と時間短縮勤務について
スペインなど、世界中の多くの国で女性は有給の育児休暇を取る法的な権利を持っています。さらに、育児休暇が終わっても、時間短縮で働く権利も持っています。
こういった手段は女性の仕事と家庭での生活のバランスを取ることを目的としています。このような法律のおかげで、女性が仕事や収入減を失うのではないかと怖がることなく子どもを持つことができるのです。
残念ながら、日本は先進国の中で有給休暇が必須でない数少ない国の一つです。
日本では、産前休業は予定日の6週間前から取得が可能です。これは強制ではないので、妊婦さんが会社に申請することで休暇が取れます。また、産後の休業は出産日の翌日から8週間です。しかし、女性の出産後継続就業率は26.8%にとどまっています。(厚生労働省データより)
こういった働く女性のためのシステム上の不利な点は、社会学者から「母親ペナルティ」として知られているものです。
一方、スペインでの現実はかなり異なります。スペインの雇用主は法律で最低でも16週間の有給の育児休暇を許可しなければならないとしています。これは出産する母親だけでなく、8歳以下の子どもを養子に迎える場合でも同様です。
この育児休暇の期間が終わると女性は時短で働く権利があります。その場合、給与はそれに合わせられます。
スペインの女性が職場で持っている権利とは?
スペインでは、女性の従業員は最低16週間の有給の育児休暇を得る権利を持っています。双子を生んだ場合には、その期間は18週間に延長されます。三つ子の場合は、雇用主は20週間の休暇を許可しなければなりません。
未熟児による入院の場合、休暇の時間も増えます。母親は育児休暇と年間の休暇を組み合わせるかどうかを選ぶこともできます。
この休暇の間、スペインの母親は給与の100%を支払われます。この権利を得るには直近7年間で少なくとも180日間働いているか、職についている間に360日間働いていなければなりません。
とはいえ、最低労働時間は21歳以下の女性には当てはまりません。そして21歳~26歳の女性は、180日ではなく90日で大丈夫です。
スペインの母親の職場での権利は妊娠中から始まります。事前の申請と正当な理由があれば、妊婦さんは勤務時間に妊婦検診に行くために仕事を休むことができます。
この手当は出産クラスに出席することにも適応されます。雇用主はこの時間の分も女性に給与を支払わなければならないのです。
女性は産休をパートナーとシェアするかどうか選ぶこともできます。法律により、子どもが生まれてから6週間は仕事を休まなければなりません。しかし、あと10週間の休暇をパートナーとシェアすることもできるのです。
他にも、産休は養子の場合も同様です。つまり、スペインの養父や養母の休暇の長さは、血のつながった親と同じなのです。経済的な手当てもまた同様です。
時短での勤務
先ほど述べたように、スペインの雇用主は女性の従業員に対して16週間の育児休暇を与えなければなりません。しかし、それでは十分でないという女性もいます。
その場合は、時短勤務を申請することができます。この権利のおかげで新生児との絆を作るための時間をとることができ、母乳育児にも利点があります。
この手当は一人目を出産するお母さんだけでのものではありません。8歳以下の子どもを持っている親は、必要なら一日の労働時間を半分にまで減らすことができるのです。
どれくらい勤務時間を減らすかの決められた限界はありません。しかし、スペインの法律で定められてはいませんが、親は書面で雇用主と話し合うことがベストです。
過去には、時短で働くか、週の労働日を1日減らすかを選ぶことができました。しかし、働き方改革でこの後者の選択肢は使えなくなりました。
「お母さんの腕は優しさでできており、子どもはその中で安心して眠ることができる」
-ヴィクトル・ユーゴー
スペインの母親のための時短勤務の特徴
以下は、スペインの母親の時短勤務についての、特別な手当ての一覧です。
- 働く時間とスケジュールを選ぶことができます。しかし、その労働時間は普段のスケジュール内でなければなりません。育児休暇前の労働時間の8分の1から2分の1まで減らすことができます。
- いかなる場合でも、時短勤務期間は母親は好きなだけスケジュールを変更することができます。
- スペインの母親は、望むならできる限り早くフルタイムの労働スケジュールに戻ることもできます。
- 時短期間も、祝日や休暇、個人的な時間を取ることができます。
- 時短で働いている女性も、不当解雇から守られています。また、辞職した場合、合法的に離職した場合にも他の人と同じ権利を持っています。
あなたは日本で働いている女性ですか? あなたの経験はスペインや他の国のそれとどれくらい違うでしょうか?