常染色体異常が原因となる遺伝子疾患を見てみよう

染色体異常の原因と、その結果起こる病気について見ていきましょう。
常染色体異常が原因となる遺伝子疾患を見てみよう

最後の更新: 22 10月, 2019

常染色体異常はけして珍しいことではなく、先天異常の原因となります。染色体の情報は身体の細胞すべてにあるのです。染色体を形作る各腕は4つの領域に分けられ、それぞれの領域にて、セントロメアという中央部分からの位置によって各バンドに番号がついています。

短腕はpと呼ばれ、長腕はqと呼ばれます。例として1q23の場合、1番染色体、長腕(q)、2番目の領域、3番目のバンドを意味します。常染色体異常は、一般的に次に挙げられる障害を引き起こします。

 

常染色体異常の分類

染色体異常には大きく分けて2種類あり、染色体の数による障害と染色体の形態による障害に分けられます。

染色体の数による障害

染色体の数による障害の中で、最もよく起こる原因は染色体不分離という傾向が見られます。これは染色体が2本で一対にならない場合、染色分体の減数第一分裂と減数第二分裂が起こらない、または有糸分裂が妨げられることが挙げられます。

この異常の結果、染色体の対の一部が正しく分離しません。そこで配偶子の中には、染色体が多過ぎるものや、染色体が足りないものが出てきます。

余分な染色体を持つ配偶子と正常な配偶子が受精すると、その結果特定の染色体が3つある接合体となります。この現象はトリソミーと呼ばれます。

特定の染色体が欠落する配偶子が正常な配偶子と組み合わされると、染色体の一対になる所に1本しかなく、モノソミーと呼ばれます。

染色体不分離が起こり得るのは、有糸分裂の間、そして減数第一分裂と減数第二分裂の後、さらに接合体の形成の後です。ということは、トリソミーと正常な細胞、またはモノソミーと正常な細胞を持つ新生児もいることになります。

これらの患者はモザイクと呼ばれます。さらにこの種の染色体異常は、ほとんどの場合染色体Ⅹに関係しています(モザイクの他の染色体は不可能な場合が多いです)。

常染色体異常 による遺伝子疾患

 

染色体構造の異常

染色体構造の異常が起きる場合は、主に染色体の欠失、重複、逆位、転座が挙げられます。

染色体の欠失または不足。染色体の一部が欠落しています。そこで、その染色体が失われた部分では、保存されるべき遺伝情報が欠けているということになります。

染色体の重複。染色体の中で、二重に存在する部分があります。場合によっては欠失した染色体の一部が、相同染色体の末端部で結合していることもあります。これは欠失に比べて異常の症状が有害ではありません。

染色体の逆位。これは二カ所の切断により、染色体が断片化されます。その後切断した部分が融合されますが、逆向きの染色体になります。一般的に、このような遺伝子変化は奇形の発症にはなりません。それでも逆位の染色体が、正常な染色体と結合すると、その次の世代に影響を及ぼすこともあります。

染色体の転座。染色体の一部が、相同染色体ではない他の部分へ移動しています。時には転座が相互に起こることもあります。

染色体の構造的異常は、一般的に(母親側または父親側)の配偶子の減数分裂の際に発症します。

 

染色体の異常

以下、主な染色体異常について説明していきます。

ダウン症候群

1866年にラングドン・ダウン医師により始めて発見され、(700人出生辺り1人の割合で発症するので)最も一般的な染色体異常による遺伝子疾患です。

ダウン症の人には47の染色体があり、体細胞の21番染色体が通常より1本多く存在します。

通常赤ちゃんの出生時やその直後に、次のような特徴があるので、すぐに異常が確認されます。

  • 低血圧
  • 知的障害
  • 短頭症(頭蓋の冠状縫合が早期に閉鎖され、頭部が過度に発達するため)
  • 舌が長い。
  • 手が短くて厚い。
  • 35%の患者に心臓疾患が見られる。
  • 低身長

ダウン症の95%は染色体21トリソミーが原因ですが、約4%は染色体21の長腕における転座(染色体13、14、15への移動)も見られます。そのような患者は46の染色体を持っていますが、表現型から見るとトリソミー21とは区別できません。

常染色体異常 が原因の遺伝子疾患例

18トリソミー(Eトリソミー)

この症候群は18番染色体と関係しています。これは複数の先天性異常と関連し、ダウン症よりも症状が深刻です(ほとんどの患者の寿命は6か月位)。

最もよく起こる症状:

  • 知的障害
  • 発育不全
  • 耳や手足の奇形

13トリソミー(Dトリソミー)

これは前述の病気よりもごく稀ですが、 極めて重度な異常を伴い(新生児が1か月以上生き延びるのは難しいです)。

それが原因で、神経組織の障害、知的障害、口蓋裂、三ツ口、皮膚奇形、心血管系奇形などが見られます。

猫泣き症候群

これは5番染色体における、部分的5pモノソミー(染色体短腕の一部欠失)が原因です。

その結果複数の異常を引き起こし、最も特徴的なのは赤ちゃんの泣き声です。子どもは猫が鳴くような声をあげて泣きます。他にも、知的障害や小頭症などの異常が見られます。

4pモノソミー

4番染色体の短腕が欠失することで引き起こされます。それは低出産体重、発育不全、顔面の異常な外観が表現型として現れます。

 

常染色体異常の結論

最後に、これらの異常が多くの家族と新生児に影響を与えているので、医師は日々の努力によって人々の理解を深めるよう努めています。これらの症状を、早くに察知できるような技術も開発されています。

さらに色々な治療法が進歩してきているので、疾患を持つ子ども達の予防、ケアの改善が見られることでしょう。


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