ADHDの子どもの脳では何が起こっている?

様々な現代技術を利用して脳の画像を見ることで、専門家はADHDの子どもの脳をより良く理解するよう努めています。
ADHDの子どもの脳では何が起こっている?
María Alejandra Castro Arbeláez

によって書かれ、確認されています。 心理学者 María Alejandra Castro Arbeláez.

最後の更新: 15 2月, 2019

ADHD の子どもは脳の部位で異常が見られます。この疾患についてもっと理解するには、ADHDの種類を認識する必要があります。

まずADHDは注意欠陥・多動性障害とも言われ、小さい子どもや思春期の子どもに起こる神経発達症です

多動性(過活動)や衝動性、または不注意の特徴があり、正常な機能と学習に影響を及ぼしています。

一般的に小さい頃に発症し、大人になってもその症状がはっきりと表れることが多いです。早めに診断して治療を始めないと、一生に関わる結果をもたらすことがあるかもしれません。

子どもに見られる3種類のADHD

ADHDには主に3種類あり、それぞれの特徴的な症状に違いがあります。

1.混合型ADHD(注意欠陥 / 多動性 / 衝動性障害)

これは最もよく起こる種類のADHDです。子どもは衝動的で多動な行動が見られ、すぐに気が散ってしまい集中力が続きません。

2.主に多動性障害 / 衝動性障害のADHD

上記の種類よりも多く診断されませんが、子どもは多動性と衝動性のある行動を示しているものの、大抵の場合注意力があります。

3.注意欠陥障害のADHD

この場合、子どもは衝動性障害がありません。学校や他の活動中に邪魔をすることがないので、症状が見過ごされることもあります。

ADHD の子どもの脳

ADHDの子どもの脳では何が起こっている?

ここではADHDの子どもの脳について、いくつか違った側面から詳しく見ていきたいと思います。

1、ADHDの脳に関して

様々な現代技術を利用して脳の画像を見ることで、専門家はADHDの子どもの脳をより良く理解するよう努めています。

その結果ADHDは子どもの脳の部位に機能障害を引き起こすことが分かりました。

以下のような脳の2か所の部分が、特にADHDの発病に関連していると研究者は見ています。

  • 前頭葉(特に前頭前皮質と眼窩前頭皮質)は、自分の行動を抑える、物事を順序立てて考える、周りに対する反応を調整するなど、実行機能に関係しています。ところが多動性障害の子どもは、これらの機能が充分働いていない行動をすることがあります。
  • 大脳基底核は、動きに関する運動調節、感情や行動など対人関係や社会機能を司る部分です。

「脳を例えるならば、水を入れるコップではなくて、電気をつけるランプのようなものだ。」

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2.神経伝達物質の重要性

前述の脳内2か所の部分をつなぎ、調整する神経回路が、ADHDによって十分に機能しないことが問題です。これらは神経伝達物質である、ドパミンやノルアドレナリンを通して情報のやりとりが行われます。

ここではドパミンが最も重要な機能を果たしています。ドパミンシステムは、脳内で子どもに意欲を持たせたり、学習強化などに関わっています。

そしてノルアドレナリンも不可欠です。神経伝達物質の働きによって、学習、記憶、注意深さなどに影響します。

ADHDの発病は、この2種類の神経伝達物質が充分に分泌されず、神経間で正しく情報が伝達されないことに関連しています。

適切な量のドパミンとノルアドレナリンがなければ、スムーズな情報伝達が行なわれません。ADHDの子どもの脳では、この2種類の神経伝達物質が不規則に分泌されるのです。

子どもに見られるADHDの特徴

ADHDの子どもには不注意、多動性、衝動性があり、独特の形でそれが現れます。ではADHDに関して、一般的な症状を見ていきましょう。

1.不注意の症状

  • 気が散りやすい。
  • 話を聞いていない様子。
  • 学校や家庭で、言われた指示に従わない。
  • 活動を順序立てることが難しい。
  • 課題をしない、またはしたがらない。
  • ものを失くしやすい。
  • 外からの刺激に反応して集中できない。
  • 物事を忘れやすい。

ADHDの発病は、神経伝達物質のドパミンとノルアドレナリンが充分に分泌されないことに関連しています。

2.多動性と衝動性の特徴

  • いつも身体が動いてしまう。
  • 静かに遊べない。
  • しゃべり過ぎる。
  • 話している人に割り込む
  • ストレスを感じていると、自分の行動や言葉を調整できない。
  • 気分の変化が激しい。
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この疾患をどう体験するかは、それぞれの子どもで違います。これらの症状が見られてもADHDではないこともあります。

ADHDは大抵5歳になる前に発症しますが、小さい子どもはよく動き回り集中力がないことが多いので、それを分析して診断するのはかなり難しいものです。

これは心理的行動の正常な発達の一部であって、特に問題ではないということもあるのです。

他の原因によってADHDの症状が見られることもあるので、子どもの健康診断は重要です。身体的な健康問題が、ADHDに似た症状を引き起こすこともあります。

さらに、うつ病や不安障害などのメンタルヘルスの問題も、ADHDと類似した症状を伴うこともあります。

つまり完全な健康診断をして、医師に相談することがとても重要です。それによって効果的な治療と早期介入が可能となります。


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