亜酸化窒素:出産時の痛み止め

亜酸化窒素は痛みの脳内伝達を無効にするので、鎮痛剤として使われます。 医療界では、抜歯をする際に初めて使われました。もちろん出産の痛みにも効果があります。
亜酸化窒素:出産時の痛み止め

最後の更新: 06 1月, 2019

アニメや映画などで「笑気ガス」を見たことはありませんか? 笑気ガスとは亜酸化窒素のことで、出産時の痛み止めとして使用されることもあります。

もちろん実際に効果的であることも証明されていますので、ここではその手法などについてお伝えします。

亜酸化窒素はカナダ、イギリス、フィンランド、スウェーデン、オーストラリアなどの国では出産の際に使われることがあります。

優しい香りのする、毒性の低いガスです。また、50%の酸素と混ぜたものもあり、これをエントノックスと呼びます。

 

亜酸化窒素の効果とは?

亜酸化窒素は痛みの脳内伝達を無効にするので、鎮痛剤として使われます。

医療界では、抜歯をする際に初めて使われました。もちろん出産の痛みにも効果があります。

亜酸化窒素を使用すると、めまいを感じたり、体がリラックスするのを感じます。痛みはやはり感じるものの、その痛みをコントロール出来るという安心感を与えます。

通常は痛み止めとしてのみ使用されます。硬膜外麻酔と比べると、有効性はやや低くなります。

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亜酸化窒素を出産時の痛み止めとして使うメリット

アメリカなどでは使用に疑問を投じる意見もあり、場所によっては使用を禁止されているところもあります。ですが亜酸化窒素には以下のようなメリットもあります。

即効性がある:血液やその他の組織に溶けないため、即効性を期待できます。また、その効果は吸入をやめるとすぐに消えます。

すぐに体から排除される:体外への排出は、ほんの少量が皮膚を通して、ほとんどが肺を通して行われます。約2分で体内から消えます。

痛み止め

母体や胎児に悪影響を与えない:また母乳の分泌や子宮収縮に影響を与えません。

簡単に吸入できる:マスクをつけるだけで、ガスを吸引でき、ほんの数秒で肺システムに入り込みます。また、吸引量を母親自身が調整することも出来ます。

自然分娩の感覚:亜酸化窒素を使用した出産は、硬膜外麻酔を使用した出産に比べて自然分娩の感覚を味わうことが出来ます。痛みは完全には消えません。ですがその痛みに取り乱したりすることもありません。

硬膜外麻酔に比べて安価です。

 

「出産とは愛する者に出会えるという確信のあるブラインドデートのようなものだ。」

- 作者不明

 

こちらもご覧ください:赤ちゃんの血液型について学ぼう

どうやって使うの?

面白いことに、吸入は母親自身がコントロールすることが出来ます。どうやって使うのでしょう?

マスクを看護士から受け取ると、母親は看護師や助産師の助言に従って深く吸い込んだり軽く吸い込んだりすることが出来ます。

収縮の前は深くゆっくり吸い込みます。効果が出るまで30秒ほどかかるためです。痛みが最大になった時に合うように吸い込むのです。収縮と共に効果も消えます。

基本的な使用方法はこうです。最も痛みが激しくなる時に効果が出るようタイミングを合わせて吸い込みます。だいたい2回ほど行った時点で、出産を成功させることが出来ます。

血圧 亜酸化窒素 

 

亜酸化窒素の使用のデメリット

激しい痛みに対する効果です。亜酸化窒素は痛み止めであり麻酔薬ではないので、痛みを軽減するだけで抑制することはありません。

ですので耐えきれないほどの痛みであった場合、更に強力な薬を使用しなければなりません。

また、吐き気をもよおす場合もあります。場合によっては酷いこともあり、これは約25%~30%の人が感じるようです。

その他のデメリットは以下の通りです。

・口の乾燥

・めまい

・耳鳴り

・記憶への影響

・チクチクする感覚

・陶酔感

また、使用してはいけない場合もあります。母親が肺に問題を抱えていたり、頭蓋高血圧症の場合は使えません。ですがこれはまれなケースです。

ほとんどの場合、安全に使用することが出来ます。また、使用するかどうかを決めるのは母親本人です。痛みの感じ方は人それぞれなのですから。


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